大野謹慶


NEWS & DOARY

2012.04.13

微笑みの国

昨日のことのように思い出す一昨年の2月5日それが人生で3度目の訪タイだった。

始めてきたのは2000年の2月。
2度目は2002年の2月だからしばらくぶりのことだ。

なぜ2月ばかりなのかというと、北海道は一番寒い時期で毎日のように雪が降っている。
タイはというと、12月から2月が一番良い季節だ。
適度に涼しく(充分に暑いが)、雨も降らずに晴天が続く。

初めてタイに来てから10年も経つと、色々なものが変わってきていた。
窓もドアも、塗装もないような自動車が多かったのに、今ではピカピカの新車ばかりだ。
モノレールのような高架鉄道(BTSスカイとレイン)も開通していて、交通の便が多少は良くなっている。
マンションや住宅もこの10年間で約10倍近くに値上がりしているようだ。(地域による)
50階建てから72階建てまで、高層ビルが立ち並び東京となんら変わらないような景色だ。

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とはいっても、これは大都会バンコクの話であるバンコクと一口に言っても、バンコク都ということになると東京都とほぼ同じような広さになる。
そして人口も約900万人だから、東京と見比べても遜色がないのも納得だ。

しかし、車で2時間、3時間と走っていくうちに、状況は一変してくる。
地方都市で観光などでにぎわっているパタヤ、チェンマイ、プーケットなどは別だが、田舎町や農村地帯に行くと、同じ国とは思えないほどの変わり方だ。

日本でもよく『貧富の差』『格差社会』などといわれるが、それとは比べ物にならないのが東南アジアだ。
総資産、数兆円とか数千億円という人もたくさんいれば、世帯年収が6万円未満という人々もたくさんいる。
通りがかりの旅行者にまだ中学生くらいの娘を1000円程度で『売り』に出している母親さえもいる。
学歴社会なので大学卒業者しか正社員になれない企業が多い中で、貧困層の人々は大学はおろか、中学校さえもまともに卒業できない人がたくさんいる。
だから代々ずっと貧困のまま抜け出すことが困難だ。
その反面、贈与税や相続税がないので金持ちはいつまで経っても金持ちのままでいられる。

この国では、娘がアメリカ人や日本人などの割と裕福な男に見初められて、子供でも作るか?あわよくば結婚でもすることが一番のドリームなのかもしれないとさえ感じてしまう。

しかし、貧しいからといって必ずしも不幸なのか?というと、それは違うと思う。
この国の大多数を占める貧困層の人々は、実にたくましく、そして笑顔で生きている。ブランド物なんて欲しがらない。そもそも、知らないのだから余計な欲も出ないのだろう。

または知っていても、そんなものを買うお金があるなら何年分の食費になるか・・・と考えるのかもしれない。

どんな人にも、もちろん自分にも欲はある。

幸せとは、そう感じられるか?感じられないか?だけの問題で、他人に『あなたは不幸ですね』などといわれる筋合いのものでもない。
そんなことを、しみじみと感じて考えてしまうのがこの国だ。

次回へ続く・・・